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鰹節の知識箱

伝統的な鰹節

鰹節

焼津の特産品である鰹節。

この鰹節は天然原料を使用した無添加の完全自然食品として古くから日本人に親しまれているものでありますが、その一方で芸術品としての側面も持ち合わせていることをご紹介したいと思います。

毎年5月に、焼津市にあります静岡県水産技術研究所において、「焼津鰹節伝統技術研鑽会切り込み作業」というものが開催されます。これは昔ながらに伝わる焼津型の本枯鰹節製造技術を、会社の垣根を越えて鰹節業界の大先輩から、次世代の鰹節業界を担う若者達に伝えていく行事です。

毎年数名の講師に20名ほどの業界の若者が実際に指導を受けながら鰹の切り込み、煮熟、骨抜き、修繕、そして最初の焙乾という作業工程を行います。

最初の切り込み作業で形成された形が最終的な鰹節の原型となるため、特にこの切り込み作業はかなりの経験が必要です。また、骨抜作業では身崩れ防止のために水槽の中で浮力を利用しながら骨抜きをしたり、鰹の持ち方や骨を抜く順序一つとっても少し違えば出来栄えに影響を与えてしまうほど繊細な感覚が必要とされます。修繕・焙乾工程においても長年積み重ねられた知恵と経験により完成された技術が生かされています。

従いまして本枯れ節の製造を完全にマスターするためには何年もの実務経験が必要とされています。まさに職人技が生み出す芸術品なのです。

鰹節の製造技術を次世代へ・・・

製造技術を次世代へ

「焼津鰹節伝統技術研鑽会」は、2005年から焼津市の指定無形文化財に認定されました。この研鑽会で切り込み作業をしたものは、これから何日も焙乾を繰り返し、真夏の暑い時期にしっかりとカビ付けをして、秋頃に完成します。そして秋には組合員の中の代表者が皇居の新嘗祭にこの節を献上しに行きます。

ところで、なぜ日頃鰹節製造に携わっている若者が鰹節の製造技術を教わらなければいけないのか・・・。それは昔ながらの本枯れ節は日常ほとんど製造されなくなってしまったからなのです。

今流通している鰹節は、食品としての鰹節に特化したもので、極力製造コストを抑え大量生産が可能な方法に変わっています。悲しいかな時代の流れの中で、比較的高価なものである本枯れ節は消費量が減少し製造する者が年々減少してしまいました。この業界も時代の流れには逆らえないのです・・・。

食品として鰹節を考えた場合、今の時代に芸術品としての要素が昔ほど必要とされていないということなのでしょう。

しかし鰹節業界の若者はこの焼津の文化財を先輩から受け継ぎ、芸術品としての鰹節を日本の文化として次世代へ引き継ぐ義務があります。同時にこの文化財をただの飾り物として維持していくだけでなく、まちづくりに生かしていくことによってその価値を高めていくことが大切だと考えています。

天皇陛下に献上する鰹節

献上する鰹節

焼津鰹節水産加工業協同組合では、毎年皇居に鰹節を献上しております。

皇居に献上する鰹節は、5月に焼津鰹節伝統技術研鑽会で切り込み作業を行ったものを数ヶ月かけて 本枯節に仕上げたものです。この製造の様子は毎年地元の新聞やテレビでも取り上げられます。

献上する役として毎年組合員のなかから4組の夫婦が選ばれるのですが、3年前に光栄にも私達夫婦も4組の中に入れていただくことができ、大役をおおせつかることになりました。

献上する鰹節は8つの桐箱に分けられております。
そして天皇陛下に献上する鰹節、皇太子殿下に献上する鰹節、賢所に献上する鰹節にはそれぞれ目録がつけてあります。この目録の文章の中では濁点を一切使わないのがならわしだそうで、「~献上もうしあけます」という表記になっておりますがなぜでしょうね。神道のしきたりでしょうか。

まずは坂下門で本人確認を受け、バッジをもらい宮中へ・・・我々が向かう先は、新嘗祭が行われる神嘉殿です。

<新嘗祭とは>

11月23日に皇居内神嘉殿で行われる今年の収穫を祝い感謝する祭典です。当日は天皇陛下が神嘉殿にお入りになり、全国各地から献納された今年の収穫物を2時間かけて柏の葉で作られた小皿に一つ一つとりわけ神様にお供えするという儀式が行われます。18時と23時の2回行われるそうです。

我々が献上する鰹節もこの新嘗祭に使用されます。鰹節の場合、節のままでは大きすぎるので、蒸して温めてから短冊状に切って柏の小皿に盛られるとのことです。

坂下門から歩けば30分以上かかるくらいの距離をタクシーで走った先に神嘉殿があり、我々一行は無事7つの桐箱に入れられた鰹節を献納してまいりました。

皇居の中

皇居の中といえば滅多に入る事ができない場所・・・
中はどんな感じかというととにかく緑がいっぱいあります。衛星写真とかでみても分かるとおり皇居の中はほとんどが林です。しかも一つ一つがかなりの大木です。おそらく原生林ではないかと思われます。そして、もちろん車が頻繁に往来しているわけでもなく、人が歩いているわけでもなく、鳥の鳴き声が聞こえ人里はなれた山の中にいるような錯覚がします。
時折、皇居の外からパトカーのサイレンが聞こえてきたりはするのですが、その音も心なしか柔らかく聞こえます。都心のど真ん中は自然に満ち溢れた癒しの空間でした。

鰹節を献納した後神嘉殿に隣接されている宮中三殿にご案内いただき参拝させていただきました。宮中三殿といえば雅子様の結婚の儀が執り行われた賢所があるところです。良くテレビにも映されるところです。宮中三殿の社の中には天皇陛下、皇后陛下、皇太子殿下、皇太子妃殿下しか入ることができないらしく、造り自体はかなり質素ですが我々一般人には近寄りがたい威厳があります。

松の盆栽

そうそう盆栽もすごかったですよ。
これ3代将軍徳川家光公から奉納された松の盆栽ですって。この他にも、何年かけてつくられたのだろうと考えてしまうような立派な盆栽がこれでもかって言うくらいに並んでおりました。

更には、宮中の売店にもご案内いただき、こんなものをGET!
菊の御紋入りの茶筒でございます。なぜ宮中に売店が?と思ったのですが、奉仕団の皆様のために用意されているとのこと。革製品、貴金属からお菓子まで多種多様の菊の御紋入りグッズが並んでいました。わずか2時間足らずの短い時間でしたか、大変貴重な体験をさせていただきました。

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